お知らせ

2018.02.23
相続登記未了の不動産
~次世代に向けた相続登記~

皆さんこんにちは。
本日は、「相続登記が未了の不動産」についてご紹介いたします。

近年、不動産について相続登記がなされていないまま放置されているものが多数存在していることが、東日本大震災からの復興の過程等で明らかとなり、社会的問題になっているのをご存知ですか?
 相続登記が放置されているため、共有者が多数になって所有者が誰なのか把握が困難となり、まちづくりのための公共事業が進まなくなるといういわゆる所有者不明土地問題が生じてしまいます。また、空き家の増加の一因とも言われています。

このような社会的問題を抱える相続登記の未了。
相続登記を行うことによってどのような利点があり、行わないことによってどのような不都合があるのでしょうか。

【すぐに相続登記をするメリット】
不動産についての権利関係が明確になり、相続した不動産を売却しようとするときに、すぐに売却の手続きを行うことができます。また、担保に入れて住宅ローンを組むこともスムーズにできます。

【相続登記を放置することのデメリット】
①2次相続、3次相続が発生してしまう
 →誰が相続人となるのか調査に膨大な時間がかかります。
また、相続登記の手続き費用や手数料が高額になってしまいます。
②不動産の処分の際に不都合が生じる
 →相続した不動産をすぐに売却することができません。
  ローンを組むときに担保に入れることができません。
③公共事業等を円滑に行うことができない
 →相続登記が行われない結果、所有者不明の不動産が出てきてしまい、各自治体はそれを起因として、公共事業の中止・中断や事業地の変更を余儀なくされるなど、円滑な公共事業の実施を阻害してしまいます。

相続登記の未実施によって上記のようなメリット・デメリットが生じます。
‘今’行っておかなければ‘将来’大きな問題を抱えることとなります。

自己の権利を守るとともに、“次世代のため”の相続登記を行いませんか。

“相続登記、相続のご相談”はひらた司法書士事務所にお任せください。
2018.02.22
資産承継における遺言信託の活用例
みなさんこんにちは。

本日は、資産承継における遺言信託の活用例についてお話して参ります。

《ストーリー》「代々承継している財産を一族承継したい!」
 長男であるAさんは、代々承継してきた土地及び建物(マンション・アパート等)を所有しており、その地代・賃料が主な収入源となっています。
妻Bさんとの間には子どもがおらず、Aさんの法定相続人は、妻Bさんと弟のCさんのみとなります。
Aさんは自分が死んだら妻Bさんには何不自由なく生活させたいので、遺産は全て妻Bさんに譲りたいのですが、妻Bさんへ渡った後に妻Bさんが死んだ場合、先祖代々A家が築いてきた財産が妻Bさんの親族側に渡ることになってしまいます。
Aさんは妻Bさんが死んだら、財産は全てA家の親族である弟Cの家族に遺したいとの想いを持っています。

この場合、どのような解決方法があるでしょうか。

《解決方法》Aさんは「遺言」によって信託を設定します。
信託内容:自分の死後、委託者兼受益者を妻Bさん、受託者を弟Cさんの子どもDさんとし、妻Bさんの生きている間は、受託者Dさんが妻Bさんの生活費等の財産給付(=信託財産であるマンション・アパート等から生じる地代・賃料等を給付資源とします)を行うこととします。
そして、妻Bさんが死んだ時に信託が終了することとし、残余財産の帰属先をDさんに指定します。
このような財産設計を行うことで、先祖代々承継してきた大切な財産を、A家のものとして引き継ぐことが出来ます。

《信託を活用するPoint》通常の相続では確実にA家のものとして承継されるとは限らない!
法定相続通りに承継された場合、Aさんが代々承継してきた財産は、Aさん→妻Bさん→Bさんの親族と承継されます。その為、妻Bさんに「Dさんに相続させる」旨の遺言書を書いてもらう必要性が生じます。
しかし、それは妻Bさんの意思次第ですので、妻Bさんの気持ちが変われば、Aさんの感知しない間に遺言書を書き換えられてしまう可能性があります。
そうすると、Aさんの「代々受け継ぐ財産をA家に承継したい」との想いは実現できなくなります。
そのようなリスクを回避できるのが「信託」なのです。

最終的な財産の帰属先まで自己の意思が反映できる信託を活用することで、想いを受け継がせることが出来ます。

信託に関するご相談は、是非ひらた司法書士事務所にお任せください。
2018.01.23
認知症対策としての信託
みなさんこんにちは。

本日は認知症対策としての信託についてお話して参ります。

周りにこのような想いをお持ちの方はいらっしゃいませんか??

「認知症になった後もアパートを建設したり不動産の組み替えをして相続税対策をしたい」…①
「将来、介護施設に入所したら空家の自宅を売却しようと考えている」…②

このような場合に「信託」を活用することができます。

①について
(ストーリー)土地をお持ちのAさんが、アパート建設や不動産の組み替えを行なって相続税対策をしたいと考えています。しかし、そのような対策を行うにはある程度の期間がかかり、その期間内に認知症になってしまう可能性がある状況です。万一、認知症になってしまった場合には、以下の不都合が生じます。

・認知症になってしまうと、アパートの建設や不動産の売買はできません。
・成年後見人をつけたとしても、成年後見制度はご本人様の財産を守る制度であるため、相続税対策や資産活用の目的で活用することはできません。

このような不都合を解消することができるのが信託です。
解決方法としては、以下のような方法が考えられます。

まず、Aさんが元気なうちに、自己を「委託者兼受益者」、信頼できる第三者Bさんを「受託者」、活用を考えている財産を「信託財産」として信託契約等を結びます。
これにより、Bさんに信託された財産を管理・処分する権利が与えられ、Aさんが認知症になったのちもBさんがアパート建設や不動産の売買を行うことができ、相続税対策を続けることができます。また、信託された財産から得られた利益は受益者であるAさんが取得します。

これにより認知症による財産凍結を回避することができます。

②について
(ストーリー)一軒家をお持ちで一人暮らしのCさんは、将来介護施設に入所しようと考えており、入所後空家となる自宅はいつか売却すれば良い…と考えています。しかし、万一認知症になってしまった場合には、以下の不都合が生じます。

・認知症になり判断能力がなくなると自宅を売却することができません。
・成年後見制度を利用した場合、居住用不動産を売却するには家庭裁判所の許可が必要です。しかし、経済的理由等でなければ裁判所の許可を受けることが困難です。
・その結果、施設入所後空家となった建物に対する固定資産税や維持費を支払い続けなければならなくなります。

このような不都合を解消することができるのも信託です。
解決方法としては以下の方法が考えられます。

まず、Cさんが元気なうちに、自己を「委託者兼受益者」、信頼できる第三者Dさんを「受託者」、現在居住している建物を「信託財産」として、信託契約等を結びます。
これにより、Dさんは信託された財産を管理・処分する権利が与えられ、Cさんが認知症になって自宅に戻ることがなくなった場合、Dさんの権限で空家を売却することができます。なお、売却代金はCさんのために使います。
この場合においても、認知症による財産凍結を回避することが可能となります。

信託を組んでおけば、不動産のオーナー様等が認知症になる事で相続税対策・資産活用がストップしてしまうことを防ぎ、新たな建替え、購入、売却、賃貸のニーズにお応えすることができます。

認知症になってからでは、信託はできません。
財産凍結を防ぎ、よりよい未来を築くために、是非、信託をご検討ください。

信託に関するご相談は、ひらた司法書士事務所にお任せください。
2018.01.04
遺言信託・遺言代用信託について
明けましておめでとうございます。
本年も宜しくお願い申し上げます。

さて、本年、1回目は遺言信託・遺言代用信託について、ご説明させていただきます。

今回は両者の信託内容及び遺言代用信託の具体例を示してご説明申し上げます。

遺言信託とは、「遺言書」によって信託を設定することを指します。
すなわち、「遺言者(=委託者)が、信頼できる個人又は法人(=受託者)に対して、自己が指定する財産(=信託財産)を自己が定める目的(=信託目的)に従って管理・処分することを遺言書の中で規定し、遺言者の死亡によって効力が発生する信託のこと」です。
形式が遺言である為、遺言としての形式(=自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言)を最低限具備しなければなりません。
しかし、契約とは異なるため、受諾者の就任承諾の意思表示は遺言書には記載されません。
(実際は受託者となる方に対して就任承諾の意思確認が必要となる。)

遺言代用信託とは、遺言と同様の機能を持たせつつも、「契約」によって信託を設定する仕組みを言います。
文字どおり“遺言”に“代わって”“用いられる”信託の手法です。
委託者が生存中は、自らを受益者として信託契約の効力を発生させた上で、委託者が死亡した時に、指定した者に、信託の受益権を承継させる仕組みです。
遺言代用信託は、遺言信託と異なり、信託契約締結時に効力が発生いたします。
(遺言信託は、委託者(=遺言者)死亡時に効力発生)

以上より、遺言信託と遺言代用信託との相違点は、①「信託設定が遺言によるか契約によるか」、②「効力発生時期はいつか」の2点にあることが分かります。
共通点としては、高齢、障がい、判断能力不十分等により自ら財産管理できない親族等の生活・介護・療養等の為の財産管理の仕組みとして、成年後見制度と併用もしくは成年後見制度の代わりとして利用することで非常に有効に活用できる点です。

では、どのような場面で有効なスキームなのか、具体例を交えて説明申し上げます。
(今回は「遺言代用信託」の具体例)

(事例)X(88歳)は、多くの不動産を所有していますが、特に相続対策等を考えたことがありませんでした。Xには長男A(自営業)、次男B、長女Cの三名の推定相続人が存在し、三者の関係は良好です。
Xは、自身の生存中は不動産から得られる利益から生活費等を捻出し、自身が亡くなった後は長男であるAに不動産を引継がせ、今後の事業展開に生かして欲しいと考えております。
Xの不動産については長男Aに承継させることをB、Cも承諾しています。

(解決策)Xは、長男Aとの間の契約において、X所有のほとんどの不動産を信託財産とする信託を設定します。 信託内容としては、受託者をA、受益者をXとします。
さらに、受託者長男Aが自己の利益を図る目的等で財産を散在することを防ぐため、専門家(弁護士、司法書士等)を信託監督人として予め契約の中で設定します。
Xが死亡した時点で信託を終了させ、信託の残余財産の帰属先を長男A又は長男Aの子に指定します。
信託財産とした不動産以外の資産については、次男Bと長女Cに相続させる旨の遺言を別途作成しておくことで、次男Bと長女Cも不平等とならないようにしておきます。
また、長男Aに対しては信託財産から毎月一定額の「信託報酬」を、専門家に対しては「監督報酬」を信託財産の中から支出するように、信託契約の中で取決めをしておきます。

(ポイント)
①不動産に関して財産凍結のおそれがない
→受託者であるAに財産の管理・処分権が移転する為、Xが万一認知症の発症による判断能力の低下や意思の喪失が起きても、Xの承諾や本人確認を要せず、受託者Aが目的に従った信託財産の管理・処分を継続することができます。
②遺言の代用機能を持たせることができる
→Xの死亡により信託が終了すると、信託終了時の信託財産が長男 A(又はAの子)の固有の財産(所有権の財産)として、引継がれることになりますので、実質的にその旨の遺言を作ったのと同じ効果が生じます。

このように、自身の判断能力が低下する前に財産承継について設計することができるのが、遺言信託・遺言代用信託です。

 事例のように不動産を多く所有している場合、不動産の賃貸借契約の締結または解除、不動産の転売など、不動産の管理が必要になるケースもありますが、認知症になり判断能力が衰えると、適切な不動産の管理を行うことが不可能となります。
このような事態を防ぐために、元気なうちに、自身の“想い”を引継ぐことを考えてみては如何でしょうか。

2017.12.25
信託できる財産はどんなもの
信託できる財産はどんなもの

信託できる財産としては以下のものがあります。
原則として金銭に換価できるもの。「プラスの財産」になります。
例、金銭、有価証券、不動産(担保付不動産を含む)、動産、債権(貸金債権等)、著作権、ペットなど

信託に適さないもの
原則として金銭に換価が難しいものになります。
例、名誉、社会的地位、単純な借金、債務

信託できる財産は多くあります。信託契約を結ぶ際には、財産により契約内容を十分に検討していく必要があります。よって、全て同じ契約内容ということはありません。