事業継承

事業承継とは

事業承継とは、会社を現在の経営者から、他の人に引き継ぐことをいいます。

事業承継対策がなぜ必要なのか?

経営者の高齢化が進むと、ある日突然、病気で倒れて意思表示ができなくなったり、認知症が進んで正常な意思判断ができなくなったりする可能性が高くなります。

このような事態に陥ると、経営者が不在となり、会社は船の舵を失うのと同様に、どのように進めばよいか分からなくなってしまいます。

その結果、お家騒動が起こったり、事業が不安定となり、最悪の場合、廃業せざるを得ない事態に陥ります。廃業となると従業員を解雇せざるを得ず、従業員の生活が脅かされます。 長年温めてきた会社を失ったり、会社に貢献してきた従業員を路頭に迷わせることがないように、早期に事業承継対策をとっておくことが大切です。

事業承継の方法及びメリット・デメリット

事業承継の方法としては、

  • 親族内承継
  • 従業員等への承継
  • M&A

の3つがあります。

それぞれには以下のようなメリットとデメリットがあります。

親族内承継のメリット 親族内承継のデメリット
① 一般的に内外の関係者から心情的に受け入れられやすい。

② 後継者を早期に決定し、後継者教育等のための長期の準備期間を確保することが可能

③ 相続等により財産や株式を後継者に移転できるため、所有と経営の分離を回避できる可能性が高い

④ 血縁関係があるため、承継に際して経営者の意思を伝えやすい
① 親族内に、経営の資質と意欲を併せもつ後継者候補がいるとは限らない

② 相続人が複数いる場合、後継者の決定・経営権の集中が難しい(後継者以外の相続人への配慮が必要)
従業員等への承継のメリット 従業員等への承継のデメリット
① 親族内だけでなく、会社の内外から広く候補者を求めることができる。

② 昇格や登用の既定路線が作られると、業務としての引き継ぎがスムーズに行えるようになる。

③ 能力重視の承継となるため、不安定な経営や信用低下等の心配が少ない

④ 外部から招聘する場合、会社の経営の抜本的な見直しを図ることができる

⑤ 特に社内で長期間勤務している従業員に承継する場合は、経営の一体性を保ちやすい。
① 従業員に対する承継の場合は、後継者候補が経営への強い意志を有していることが重要となるが、適任者がいないおそれがある。

② 後継者候補に株式取得等の資金力がない場合が多い。

③ 社内の理解を得られない抜擢を行った場合、反発を招くおそれがある。

④ 個人債務保証の引き継ぎ等に問題が多い。
M&Aのメリット M&Aのデメリット
① 身近に後継者に適任な者がいない場合であっても、広く候補者を外部に求めることができる。

② 現経営者が会社売却の利益を獲得できる。
① 希望の条件(従業員の雇用・価格等)を満たす買い手を見つけるのが困難である。

② 経営の一体性を保つのが困難である。

③ 社内の混乱や従業員の士気低下といった事態が生じる可能性がある

事業承継を検討されている経営者の方へ

事業承継は始めようと思い立ってすぐにできるものではなく、特に親族内承継の場合には10年程度の長い期間の事業承継計画を立案し、後継者を育てると共に、内外の関係者に後継者としての認識を高めてもらう必要があります。さらに、早めに事業承継計画を立てることにより、後継者自身の自覚を高めることができます。

また、従業員等に対して承継を行う場合には、社内で波風が立たないような人材に承継をさせる必要があり、時間をかけて体制を整えていく必要があります。

さらに、M&Aを行う場合には、経営状態がより健全なうちに売却を進めた方が高い売却益を獲得できる可能性が高く、その売却益を利用して、経営者の方が新たに事業を始めることも可能です。
事業承継には様々な法律問題が伴いますので、事業承継を円滑かつ確実に進めるためには、専門家の助言を仰ぐことが必要不可欠です。ご相談は早ければ早いほど選択肢が増え、円滑かつ確実に事 業承継を進めることが可能です。

初回のご相談は原則として無料です。 まだ早いかもと思われている場合であっても、ご遠慮なくご相談ください。