お知らせ

2017.09.29
信託のお話【総論編】
皆さんこんにちは。
本日は、最近良く耳にする「信託」についてお話したいと思います。

1.「信託」とは
~信託の仕組み~
信託とは、「委託者」が自分の財産を「受託者」に移転し、(「委託者」から「受託者」に移転された財産を「信託財産」という)受託者が「受益者」のために、一定の目的(=「信託目的」)にしたがって財産の管理・処分等を行うものです。


※「委託者」…自己の財産を託す者
 「受託者」…財産を託され、管理・運用・処分する者
 「受益者」…その財産から利益を受ける者

このように、「委託者」と「受託者」との信頼関係に基づいて、信託契約等(=「信託行為」)により「委託者」の財産を「受託者」に移転します。
「受託者」は信託財産の名義人となり、財産の管理・運用・処分を長期的に行います。

☆信託行為
 ☞信託をするときの取り決めのこと。
 ①信託契約 ②遺言信託 ③自己信託 があります。
☆信託財産
 ☞「委託者」から「受託者」に移転された財産のこと。
  信託財産には、動産・不動産・債権・知的財産権・特許を受ける権利等を含みます。
  名義人は「受託者」となりますが、「受託者」の固有財産とは区別されます。

2.信託の機能
 ①財産管理機能
 ☞「委託者」及び「受益者」に代わり、専門家である「受託者」に財産の管理・運用・処分を委ねることができます。
 
②財産分離機能
 ☞「委託者」は自らの財産の一部または全部を信託財産とすることにより、
他の自らの財産とは分別して、目的に従って管理をすることが可能となります。

この機能により、それぞれの財産に格別に目的を定めることができ、さらに、それぞれの財産に対して将来の取得者を決めることができます。

③財産の転換機能(物権の債権化)
 ☞「委託者」が託した信託財産の所有権(物権)は、その名義のみが「受託者」に変更され、実質的な権利は受益権(債権)の形で「受益者」のものとなります。
この機能により、「所有権を移転することを禁止する」という制限をつけることは不可能ですが、受益権は債権のため、信託行為によって、「受益権の譲渡禁止特約」をつけることが可能です。

 今回は専門用語を用いて信託の総論的な部分を簡単に説明しました。
 次回は実際の事例に当てはめて、メリットやデメリットなども含めて、ご説明させて頂きます。
 次回の記事に乞うご期待!!
2017.09.28
株主総会及び取締役会の書面決議について
皆さん、こんにちは。

今日は、株主総会及び取締役会の書面決議について、ご説明をさせて頂きます。

書面決議とは、株主全員の同意(株主総会の場合)あるいは取締役及び監査役全員の同意(取締役会)がある場合に、株主総会や取締役会を実際に開くことなく、株主総会や取締役会の決議を行うことができるというものです。
株主総会:会社法319条、取締役会:会社法370条

株主総会については書面決議ができるということが法定されていますが、取締役会については、定款の定めがある場合にできるという規定になっていますので、取締役会について書面決議を行う場合には、定款の定めが必要となります。したがって、取締役会について書面決議をしようとする場合には、まず、定款の規定があるのか否かを確認することが重要です。

もっとも、この規定は親族のみで経営をしているような中小企業では利用することは殆どありません。東北の子会社の取締役を東京の本社の従業員が兼ねている場合など、株主あるいは取締役が遠方に居住(所在)しており、一堂に会することが困難な場合などに一般的に利用されています。

株主総会については株主全員、取締役会については、取締役全員+監査役全員の同意が必要であるため、要件としてはかなり厳しいです。この点からも親会社と子会社の関係、あるいはそれに近い関係にあるようなケースで絶大な効果を発揮します。

ここで、注意すべき点として、株主総会や取締役会を実際に開催しないで、取締役の選任や代表取締役の選定をする場合には、その場にいないため、席上就任という概念がなく、別途就任承諾書が必要であるという点です。

また、議事録の記載事項が法定されており、この要件を欠く場合は議事録として成立しないので、注意する必要があります。
議事録の記載事項は会社法施行規則に規定されています。

(株主総会議事録)
会社法施行規則72条4項1号
 次の各号に掲げる場合には、株主総会の議事録は、当該各号に定める事項を内容とするものとする。
一  法第三百十九条第一項 の規定により株主総会の決議があったものとみなされた場合 次に掲げる事項
イ 株主総会の決議があったものとみなされた事項の内容
ロ イの事項の提案をした者の氏名又は名称
ハ 株主総会の決議があったものとみなされた日
ニ 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名

(取締役会議事録)
 会社法施行規則101条4項1号
4  次の各号に掲げる場合には、取締役会の議事録は、当該各号に定める事項を内容とするものとする。
一  法第三百七十条 の規定により取締役会の決議があったものとみなされた場合 次に掲げる事項
イ 取締役会の決議があったものとみなされた事項の内容
ロ イの事項の提案をした取締役の氏名
ハ 取締役会の決議があったものとみなされた日
ニ 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名

形式的に言い方が違っても実質的な内容に誤りがなければ大丈夫なようではありますが、登記申請後に何かあるといけないので、ご相談がある場合には、登記申請前に内容を確認し、修正が必要か否かを確認するようにしています。

実際によくご依頼される登記としては・・

株主総会を開催して新たな取締役を選任し、取締役会で代表取締役を選定する場合で、いずれも書面決議で行った場合です。
この場合、登記に必要な書類は以下のとおりとなります。

株主総会議事録
取締役会議事録
定款 
株主リスト
就任承諾書
代表取締役の印鑑証明書
印鑑届(代表取締役交代のケース)

書面決議による役員変更登記をご依頼いただく場合、いつも会社法や会社法施行規則の根拠条文から調べているので、まとめていると便利だな~と思って、備忘録的に記事にしてみました。

~会社登記に関するご相談は迅速丁寧な当事務所へ~
2017.09.20
相続に基づく抵当権の債務者変更登記
皆さん、こんにちは。

今日は相続に基づく抵当権の債務者変更登記のお話です。

相続に基づく抵当権の債務者変更登記としては
①遺産分割協議に基づいて、直接、債務者を変更する登記
②法定相続分に基づいて、債務者の変更登記をしたのち、遺産分割協議に基づいてさらに債務者変更登記を行う場合
③法定相続分に基づいて、債務者の変更登記をしたのち、免責的債務引受を原因として債務者変更登記を行う場合
の3つのパターンが考えられます。

一番簡単で登記件数が少ないのは①で、②は一般的には行われていないと思われます。③は二段階の登記が必要になるため、あまりお勧めできないのですが、金融機関さんが③を利用することが多いように思います。

抵当権の債務者変更登記に必要な書類は
1.登記原因証明情報
  ①のケースでは遺産分割協議書又は報告形式の登記原因証明情報(義務者=所有者の印鑑のみで足り、実印も不要)
  ②のケースでは戸籍又は報告形式の登記原因証明情報が1件目、遺産分割協議書又は報告形式の登記原因証明情報が2件目
  ③のケースでは戸籍又は報告形式の登記原因証明情報が1件目、免責的債務引受契約証書が2件目
となります。
2.所有者の登記済証又は登記識別情報
3.委任状(代理人が申請する場合)
となります。根抵当権の債務者変更登記とは異なり、印鑑証明書が不要であるということが特徴となります。

それぞれの登記事項ですが、
所有者A(相続登記完了後)、債務者B、法定相続人A及びC、抵当権者Dという事案で、Aが最終的に債務を引き継ぐと考えた場合

①の場合 原因 〇〇年〇〇月〇〇日相続
     債務者 A
②の場合 
  1件目 原因 〇〇年〇〇月〇〇日相続
      変更後の事項 債務者 A
                 C
  2件目 原因 〇〇年〇〇月〇〇日遺産分割
      変更後の事項 債務者 A

③の場合
  1件目 原因 〇〇年〇〇月〇〇日相続
      変更後の事項 債務者 A
                 C
  2件目 原因 〇〇年〇〇月〇〇日Cの債務引受
      変更後の事項 債務者 A
となります。

 これで、上の事例で元々の債務がAとBの連帯債務であった場合

①の場合 原因 〇〇年〇〇月〇〇日連帯債務者Bの相続
     変更後の事項 連帯債務者 A

となり、少し書き方が変更になりますので、注意が必要です。

相続に基づく抵当権の債務者変更登記って、住宅ローンとかだったら団体信用生命保険でだいたい完済できるので、特に行う必要もなく、債務が残っている場合であって行わないケースもあるので、実際に行うのは稀なんですけどね・・・。備忘録として記載することにします。

因みに遺産分割の場合、抵当権者の同意が必要となりますが、これについては、報告形式の登記原因証明情報に同意がある旨を記載すれば足り、抵当権者の同意書の添付は不要となっています。その理由としては、抵当権の変更登記が所有者と抵当権者の共同申請であるため、抵当権者が申請をしている時点で、同意をしていることは明らかだろうと考えられるからです。では、記載しなくてもよいのではと思われるかもしれませんが、要件としてして必要なので、やはり同意をしている旨は記載をしていたほうが無難です。
2017.02.16
不動産会社のための任意売却基礎知識
皆さん、こんにちは。

昨日、複数の不動産会社の方を対象にして、「不動産会社のための任意売却基礎知識」という題名で、講演をさせて頂きました。

任意売却については、私の下記のホームページにも簡単に記載をしているところですが、このような事柄を事例を交えながら説明をさせて頂きました。http://js-clover.com/ninni-baikyaku.php

そして、不動産会社の方向けに特化をして、
①金融機関から任意売却の依頼があった場合のケース
②弁護士や司法書士などから任意売却の依頼があったケース
③破産管財人から任意売却の依頼があったケース
④一般顧客から任意売却の依頼があったケース
の各流れやそれぞれの場合について、注意すべき点などを交えながらお話をさせて頂きました。

また、少し専門的ではありますが、抵当権の優先順位や税金等の差押えが入っている場合の優先順位なども簡単に説明をさせて頂きました。

任意売却をする場合には、上記の4ケースで手続きが変わってきます。
抵当権者の方や差押えを行っている滞納処分庁(役所等)と話をするときに、手続きの流れを知らなければ最初の段階で信頼を得ることができません。

また、抵当権者が複数いる場合、更には税金等の差押えの登記が入っている場合、法的な優先順位を知らずに交渉をしてしまうと、落としどころをきちんと見つけることができなくなります。任意売却は全ての抵当権者の同意を得らえることと税金等の滞納処分庁(差押えを行っている役所等)の同意を得ることができなければ、売却することができません。交渉を行う際、法的な知識が根底にあって説得をするのと、法的な知識もないまま合理的な説明もできずに説得をする場合とでは、相手の対応も全く異なってくると思います。

不動産会社の方向けに特化をした講演だったので、皆さんに最低限知っておいて頂きたい知識を念頭に置いて、お話をさせて頂きました。

講演時間は1時間半程度でしたが、皆さん、真剣に聞いて下さって、配布をしたレジュメ等にメモをされていました。
途中で質問されたり、最後に質問があるなど、真剣に聞いて下さっていることを肌で感じることができ、大成功だったように思います。

やはり真剣に聞いて下さると嬉しいものですね。
2017.02.10
遺言作成のお手伝い
皆さん、こんにちは。

遺言の必要性について、熱く語るの続きです。

③法定相続人が兄弟姉妹のみの場合
  このケースの場合、遺言があってもなくても構わないのですが、ただ、兄弟姉妹が沢山いて、更にその兄弟姉妹が亡くなっている場合には、その兄弟姉妹の子供が代襲相続人になりますので、人数が多ければ多いほど相続関係が複雑になります。そのなかに、連絡が取れない方が一人でもいれば、家庭裁判所に不在者財産管理人を選任してもらって手続きをとらないといけなくなりますので、更に複雑になります。兄弟姉妹の方でも特に親しい方がいらっしゃって、この人に多めに残してあげたいとか、そういう意思がある場合でも、遺言を作成していなければ、多めに譲るということはできません。また、預金の解約等を行うにしても、人数が多ければ多いほど集める書類も大変になります。遺された相続人のことを考えるのであれば、遺言を作成しておくことをお勧めします。
  なお、兄弟姉妹には遺留分がありませんので、特定の方に対して遺産を全て相続させても、相続問題で死後に揉めるということはありませんので、死後の揉め事など考えることなく、遺言を作成することが可能です。

④親族が経営する会社の株式を持っている方
 このケースは意外にご存知ない方もいらっしゃると思いますが、とても大切な問題です。遺言がない場合、株式は法定相続分の割合に応じて分割されるわけではなく、1株を法定相続分全員で準共有する形となります。ですから、遺産分割協議が成立しない場合、法定相続人全員の同意がなければ、株主としての権利を行使することができません。相続人が一人であれば問題ありませんが、相続人が複数人いて、相続人間で争いがあって、遺産分割協議がなかなか成立しない場合、株主が株主としての権利を行使できないばかりに、親族が経営する株式会社の会社経営を進めることができないといった事態も起こり得ます。勿論、保有している株式数がごくごく僅かで会社経営に支障を来さない程度であれば問題ありませんが、親族が経営する会社の株式を持っている時点で、保有している株式がごくごく僅かだというのはあまり考えられません。会社経営が立ち行かなくなると、会社の関係者に与える影響も大きくなりますので、せめて株式を誰が取得するかについては、遺言で指定をすることをお勧めします。
 因みに上場していない株式は外部で取引ができないので価値がないと思い込んでいらっしゃる方もいるかもしれませんが、実際はそうではありません。勿論、資本金÷株式数という計算で決まるというものでもありません。実際にはとても複雑な計算があって、詳細は税理士の方にお尋ね頂きたいのですが、単純に言うと、亡くなった時点で会社が保有している財産÷発行済株式数×保有株式数=相続する株式価格となります。たとえ、資本金が100万円くらいしかなくても、株式会社が保有している資産が1億円であれば、1億円を基準に計算することになりますので、株式数によっては相続税申告の義務が発生するケースもあります。
 会社の経営に全く関与していなかった方が突然株式の準共有者になっても困るばかりであり、会社経営にとっては百害あって一利なしです。是非、遺言で株式の取得者を定めて頂きたいなと思います。

⑤会社の代表者
 この場合は④で生じる事態と全く同じ事態が起こり得ます。さらに、会社の代表者が保有している株式というのは、一般的には会社の経営に影響を及ぼす程度の株式数のはずなので、①代表取締役を選定することができない、②その他会社の経営に影響を与える方針決定ができないなどの事態が生じた場合、最悪の場合、会社を閉鎖せざるを得ない状態となってしまいます。よくあるケースとしては、兄弟が複数いて、そのうちの一人しか経営に関与していなかったのに、経営に全く関与してこなかった他の兄弟と争い、代表者を定めることもできず、取引先や金融機関からの信用をなくし、会社閉鎖に追い込まれるなどです。
 一からたたき上げで作りあげた会社であれば、自分が死亡した後の会社の経営はとても気になるところであり、会社の未来を考えれば、遺言の作成は必須です。相続人同士の争いを会社に持ち込まないようにさせるためには、遺言を作成しておくことが一番ですので、会社の代表者(株式を保有している方)は是非、遺言を作成しておくことをお勧めします。
※もちろん、事業承継とか相続が発生する前の手続きもありますが、これは遺言の前の手続きですので、今回は省略します。少なくとも遺言書は残しておいて頂きたいと思います。

⑥特定の方に対して遺産を与えたいと考えている場合
 遺言書がなければ、法定相続分どおりの相続となります。もしも、特定の方に財産を与えたいとお考えの場合には、遺言書を作成していなければ、その意思を貫くことができませんので、遺言書の作成をお勧めします。

 遺産というのは、亡くなられる方が長年築き上げてきたものであり、亡くなられる方の人生の集大成といえるものです。
 遺言書の作成は、自らの人生を振り返り、自分の生きた証を誰に残したいのか、どういう想いで残すのか、じっくりと考えることのできる機会でもあります。遺言書を作成する場合、死を意識するので嫌だと思われるかもしれませんが、遺言書はいつでも撤回をすることができますし、お元気なうちに、正常な判断に基づいて、自らの生きた証を引き継がせる方を定めなければ、意味がありません。
 認知症になってからでは、遺言能力がなくなるケースもありますので、できれば早いうちに早い段階でご自分の想いを伝えるための遺言を作成してほしいと思います。

 なお、ご病気などで動くことができない方については、公証人が出張をして、公正証書遺言を作成するという方法もありますので、ご自分のためにも、相続人のためにも、ぜひとも遺言書を作成して頂きたいなと思います。