お知らせ

2018.01.23
認知症対策としての信託
みなさんこんにちは。

本日は認知症対策としての信託についてお話して参ります。

周りにこのような想いをお持ちの方はいらっしゃいませんか??

「認知症になった後もアパートを建設したり不動産の組み替えをして相続税対策をしたい」…①
「将来、介護施設に入所したら空家の自宅を売却しようと考えている」…②

このような場合に「信託」を活用することができます。

①について
(ストーリー)土地をお持ちのAさんが、アパート建設や不動産の組み替えを行なって相続税対策をしたいと考えています。しかし、そのような対策を行うにはある程度の期間がかかり、その期間内に認知症になってしまう可能性がある状況です。万一、認知症になってしまった場合には、以下の不都合が生じます。

・認知症になってしまうと、アパートの建設や不動産の売買はできません。
・成年後見人をつけたとしても、成年後見制度はご本人様の財産を守る制度であるため、相続税対策や資産活用の目的で活用することはできません。

このような不都合を解消することができるのが信託です。
解決方法としては、以下のような方法が考えられます。

まず、Aさんが元気なうちに、自己を「委託者兼受益者」、信頼できる第三者Bさんを「受託者」、活用を考えている財産を「信託財産」として信託契約等を結びます。
これにより、Bさんに信託された財産を管理・処分する権利が与えられ、Aさんが認知症になったのちもBさんがアパート建設や不動産の売買を行うことができ、相続税対策を続けることができます。また、信託された財産から得られた利益は受益者であるAさんが取得します。

これにより認知症による財産凍結を回避することができます。

②について
(ストーリー)一軒家をお持ちで一人暮らしのCさんは、将来介護施設に入所しようと考えており、入所後空家となる自宅はいつか売却すれば良い…と考えています。しかし、万一認知症になってしまった場合には、以下の不都合が生じます。

・認知症になり判断能力がなくなると自宅を売却することができません。
・成年後見制度を利用した場合、居住用不動産を売却するには家庭裁判所の許可が必要です。しかし、経済的理由等でなければ裁判所の許可を受けることが困難です。
・その結果、施設入所後空家となった建物に対する固定資産税や維持費を支払い続けなければならなくなります。

このような不都合を解消することができるのも信託です。
解決方法としては以下の方法が考えられます。

まず、Cさんが元気なうちに、自己を「委託者兼受益者」、信頼できる第三者Dさんを「受託者」、現在居住している建物を「信託財産」として、信託契約等を結びます。
これにより、Dさんは信託された財産を管理・処分する権利が与えられ、Cさんが認知症になって自宅に戻ることがなくなった場合、Dさんの権限で空家を売却することができます。なお、売却代金はCさんのために使います。
この場合においても、認知症による財産凍結を回避することが可能となります。

信託を組んでおけば、不動産のオーナー様等が認知症になる事で相続税対策・資産活用がストップしてしまうことを防ぎ、新たな建替え、購入、売却、賃貸のニーズにお応えすることができます。

認知症になってからでは、信託はできません。
財産凍結を防ぎ、よりよい未来を築くために、是非、信託をご検討ください。

信託に関するご相談は、ひらた司法書士事務所にお任せください。
2018.01.04
遺言信託・遺言代用信託について
明けましておめでとうございます。
本年も宜しくお願い申し上げます。

さて、本年、1回目は遺言信託・遺言代用信託について、ご説明させていただきます。

今回は両者の信託内容及び遺言代用信託の具体例を示してご説明申し上げます。

遺言信託とは、「遺言書」によって信託を設定することを指します。
すなわち、「遺言者(=委託者)が、信頼できる個人又は法人(=受託者)に対して、自己が指定する財産(=信託財産)を自己が定める目的(=信託目的)に従って管理・処分することを遺言書の中で規定し、遺言者の死亡によって効力が発生する信託のこと」です。
形式が遺言である為、遺言としての形式(=自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言)を最低限具備しなければなりません。
しかし、契約とは異なるため、受諾者の就任承諾の意思表示は遺言書には記載されません。
(実際は受託者となる方に対して就任承諾の意思確認が必要となる。)

遺言代用信託とは、遺言と同様の機能を持たせつつも、「契約」によって信託を設定する仕組みを言います。
文字どおり“遺言”に“代わって”“用いられる”信託の手法です。
委託者が生存中は、自らを受益者として信託契約の効力を発生させた上で、委託者が死亡した時に、指定した者に、信託の受益権を承継させる仕組みです。
遺言代用信託は、遺言信託と異なり、信託契約締結時に効力が発生いたします。
(遺言信託は、委託者(=遺言者)死亡時に効力発生)

以上より、遺言信託と遺言代用信託との相違点は、①「信託設定が遺言によるか契約によるか」、②「効力発生時期はいつか」の2点にあることが分かります。
共通点としては、高齢、障がい、判断能力不十分等により自ら財産管理できない親族等の生活・介護・療養等の為の財産管理の仕組みとして、成年後見制度と併用もしくは成年後見制度の代わりとして利用することで非常に有効に活用できる点です。

では、どのような場面で有効なスキームなのか、具体例を交えて説明申し上げます。
(今回は「遺言代用信託」の具体例)

(事例)X(88歳)は、多くの不動産を所有していますが、特に相続対策等を考えたことがありませんでした。Xには長男A(自営業)、次男B、長女Cの三名の推定相続人が存在し、三者の関係は良好です。
Xは、自身の生存中は不動産から得られる利益から生活費等を捻出し、自身が亡くなった後は長男であるAに不動産を引継がせ、今後の事業展開に生かして欲しいと考えております。
Xの不動産については長男Aに承継させることをB、Cも承諾しています。

(解決策)Xは、長男Aとの間の契約において、X所有のほとんどの不動産を信託財産とする信託を設定します。 信託内容としては、受託者をA、受益者をXとします。
さらに、受託者長男Aが自己の利益を図る目的等で財産を散在することを防ぐため、専門家(弁護士、司法書士等)を信託監督人として予め契約の中で設定します。
Xが死亡した時点で信託を終了させ、信託の残余財産の帰属先を長男A又は長男Aの子に指定します。
信託財産とした不動産以外の資産については、次男Bと長女Cに相続させる旨の遺言を別途作成しておくことで、次男Bと長女Cも不平等とならないようにしておきます。
また、長男Aに対しては信託財産から毎月一定額の「信託報酬」を、専門家に対しては「監督報酬」を信託財産の中から支出するように、信託契約の中で取決めをしておきます。

(ポイント)
①不動産に関して財産凍結のおそれがない
→受託者であるAに財産の管理・処分権が移転する為、Xが万一認知症の発症による判断能力の低下や意思の喪失が起きても、Xの承諾や本人確認を要せず、受託者Aが目的に従った信託財産の管理・処分を継続することができます。
②遺言の代用機能を持たせることができる
→Xの死亡により信託が終了すると、信託終了時の信託財産が長男 A(又はAの子)の固有の財産(所有権の財産)として、引継がれることになりますので、実質的にその旨の遺言を作ったのと同じ効果が生じます。

このように、自身の判断能力が低下する前に財産承継について設計することができるのが、遺言信託・遺言代用信託です。

 事例のように不動産を多く所有している場合、不動産の賃貸借契約の締結または解除、不動産の転売など、不動産の管理が必要になるケースもありますが、認知症になり判断能力が衰えると、適切な不動産の管理を行うことが不可能となります。
このような事態を防ぐために、元気なうちに、自身の“想い”を引継ぐことを考えてみては如何でしょうか。

2017.12.25
信託できる財産はどんなもの
信託できる財産はどんなもの

信託できる財産としては以下のものがあります。
原則として金銭に換価できるもの。「プラスの財産」になります。
例、金銭、有価証券、不動産(担保付不動産を含む)、動産、債権(貸金債権等)、著作権、ペットなど

信託に適さないもの
原則として金銭に換価が難しいものになります。
例、名誉、社会的地位、単純な借金、債務

信託できる財産は多くあります。信託契約を結ぶ際には、財産により契約内容を十分に検討していく必要があります。よって、全て同じ契約内容ということはありません。
2017.10.20
民事信託と商事信託の違い
第2回 商事信託と民事信託の違い
皆さんこんにちは。
本日は信託の2つの類型「商事信託」と「民事信託」の違いについてお話します。

商事信託とは、「営業信託」とも呼ばれ、信託の引き受けが営業としてなされる形態、すなわち受託者が営業として引き受ける信託です。受託者は主に、信託会社や信託銀行等が担うことになります。
 他方、民事信託とは許認可のある信託銀行や信託会社を介することなく、一般市民や中小企業等が委託者・受託者・受益者等の信託を構成する機関となり、信頼関係を基礎としてとり行われる信託行為の全てをいいます。

長期にわたる財産管理・資産承継の仕組みを構築するにあたり、家族等に資産を託す「民事信託」と、信託銀行等に資産を託す「商事信託」をどう使い分けるのか、というのは非常に重要な点となります。
では、どのような相違点があるのか、主に3つの視点から比較したいと思います。

(1)信託できる財産の範囲の違い
<民事信託>
不動産、現金、未上場株式が中心となります。
<商事信託>
信託銀行は原則不動産を信託財産として預からない為、信託銀行に託す財産は金銭が中心です。信託会社でも、農地や地方の不動産を預かる会社は多くはありません。

(2)受託者になれる者の違い
<民事信託>
原則として、法人・個人を問わず受託者になることができます。
ただし、未成年者・成年被後見人・被保佐人は信託法7条の規定により、受託者となることができません。
民事信託会社の設立には、商事信託会社や信託銀行と異なり、免許・登録等が不要です。
<商事信託> 
内閣総理大臣の免許を受けた信託銀行又は信託会社以外は受託者になることができません。信託銀行又は信託会社は、業として不特定多数の者を対象に引き受ける信託を行うことが必要です。信託業法における「業」とは、信託財産の管理・運用業務について報酬を得る目的で長期的に反復継続して行うことをいいます。

(3)受託者の権限の違い
<民事信託>
信託行為(契約、遺言等)により柔軟に受託者の権限を指定することができます。
<商事信託>
受託者の権限は金融庁の免許の種類により確定します。
委託者が運用方法を指定する運用型信託、受託者の裁量で資産の運用・処分が可能な管理型信託があります。

 個人・法人、中小企業の経営者、地域社会等の想いを実現するため、委託者と受託者の間で信託契約等を締結し、様々なコストを抑えて、信託のメリットを生かすことができるのが「民事信託」です。商事信託は大口資産が対象となるのに対して、民事信託は小口資産であっても活用の幅があり、現在日本が抱える、急速な少子高齢化・核家族化・地縁等の希薄化・後継者問題等、多方面において解決の糸口を見出すことができるものです。

 このような特徴を有する民事信託の活用方法について、次回より事例紹介を行ってまいります。
2017.10.18
相続登記って申請しないといけないのでしょうか??
皆さん、こんにちは。

相続登記って申請しないといけないの??
という素朴な疑問を抱えている方がおられるのではないでしょうか。

そこで、本日はこの点について、ご回答をさせて頂きます。

まず、相続登記というのは、相続に基づく所有権移転登記のことですが、これは義務ではありません。ですからしてもしなくても、法律上罰せられることもありません。少なくとも現在の法制度ではそのようになっています。

しかし、やはり相続登記の申請はしておかなければなりません。なぜかというと、時間が経てば経つほど、相続関係が複雑になり、手続きに時間とお金を要してしまうからです。

ここで、相続登記をしていなかった場合にリスクを被るよくあるケースを説明をさせて頂きます。

(ケース1)
 Aの実家の父が亡くなり、父名義の実家(土地及び建物)が父の唯一の財産であった。実家には母がそのまま住んでいたが、子供はAだけなので、相続で揉めることはないし、所有権移転登記はいずれ行えばいいだろうと軽く考えていた。
 その後、5年がたち、Aは新たに住宅を購入することとなった。さらに5年後、会社が倒産し、住宅ローンを返済することができなくなったため、やむを得ず破産をすることとなった。
 この時点で、実家の不動産の所有権移転登記を行っていなかったことを思い出した・・。このような場合どうなるのでしょうか。

(回答)
 この場合、破産手続きを行う上では遺産分割未了の財産と扱われ、法定相続分(事例では2分の1)がAの財産として扱われます。母親が住んでいる実家の不動産を売却して2分の1の金額を返済に充てるか、2分の1の価格に相当する金額のお金を工面して返済に充てるか、いずれかしなければ破産手続きが終了しません。
 この場合、父親が亡くなった時点で遺産分割協議をして、母親名義の不動産にしておけば、母親固有の財産になりますので、母親が生きている限り、破産手続きの財産に加えれることはありません。母親が実家を出ていくという事態は防ぐことができました。
 住宅ローンは本来返済をするのが当たり前なのですが、会社の倒産や難病などでやむを得ず破産手続きなどを選択するケースもあります。
 多額の融資を受ける時などには、遺産分割未了の土地や建物がなかったどうか、いま一度考えらえることをお勧めします。
 なお、破産をしようと思った時点で、母親名義にするのは、債権者を害する行為となりますので、禁じられています。ご注意ください。

(ケース2)
 数十年前に父方の祖父母が亡くなり、祖父名義の土地があるが、相続登記未了のまま、父が亡くなり、父の兄弟も1名を残して亡くなった。父は8人兄弟の末っ子で、すでに亡くなっている6名については、それぞれ3名ずつの子供がいる。
 父が実家に住み続けていたため、固定資産税は父が支払いを続け、父が亡くなってからはAが支払わなければいけない状態だ。Aは別に住宅を購入しており、祖父名義の不動産は固定資産税を支払うだけのお荷物になってしまっているが、どうすればいいか。

(回答)
 遺産分割協議を行ってA名義にして売却をすることがもっとも望ましいです。
 ここで問題となるのが、誰が相続人かということです。これは、祖父が亡くなる以前にAの父親の兄弟が亡くなっていればその子供が、祖父が亡くなったあとに、Aの父親の兄弟が亡くなってしまった場合にはさらに妻とその子供が相続人になるというように、亡くなられた時期を基準に相続人がいろいろと変わってきます。祖父が亡くなった時点では単純だった相続関係が、時間が経過するにつれ、より複雑になってしまいます。
 また、相続人本人が高齢で認知症となり、遺産分割協議ができなくなるというケースもあります。
 実際にこのような相談も多くあり、このような場合には、いつ相続手続きが終わるのか、予測が立ちません。
 また、相続人が行方不明のため、遺産分割協議ができず、不在者財産管理人を選任しないといけないというケースもあります。
 相続が発生した時点で、遺産分割協議を行い、相続登記をきちんと申請してさえいれば、このような事態は防ぐことができたのに、何十年も放置した結果、収拾がつかなくなり、時間も費用も数倍あるいは十数倍に膨れ上がるというケースは本当によくあります。

 子供が亡くなればさらにその妻やその子供に相続分が承継されるのですが、そのことを知らず、相続人が亡くなった場合は関係ないと勘違いをされている方が少なからずいらっしゃいます。

 相続は時間が経てば経つほど複雑になりますので、相続登記は義務ではなくても、即座にされることをお勧めします。

最後に・・
相続登記を申請しなくてもよいという案件もありますので、それをご紹介します。

(ケース3)
 兄が亡くなり、父も亡くなっているため、兄の唯一の相続人は母だけだ。母にはA以外に相続人はいない。母名義への相続登記の申請をしておいたほうがいいでしょうか。

(回答)
 このケースの場合、母親が亡くなった時点で、Aさんに直接所有権移転登記を行うことができるため、母親が亡くなった時点で所有権移転登記を行っても問題ありません。

 繰り返し述べますが、相続登記は義務ではありませんが、相続人が複数いる場合には、必ず遺産分割協議を行い、相続登記を行うようにしてください。
 そうすることによって、事後の紛争を防ぐことができますし、時間や費用を無駄にすることもありません。

相続登記の申請は必ず行うようにしましょう。

~相続登記のご相談は迅速かつ丁寧なひらた司法書士事務所へ~